双極性障害
双極性障害は、以前は躁うつ病と呼ばれていた精神疾患です。気分の波が極端に変動し、高揚した状態である躁状態(または軽躁状態)と、落ち込んだ状態であるうつ状態を繰り返すのが特徴です。これらの気分の波は、日常生活、仕事、人間関係に大きな影響を与える可能性があります。武蔵野病院では、患者さん一人ひとりの症状や状態に合わせた投薬治療を中心に、カウンセリング・心理療法も取り入れ、双極性障害の症状緩和と安定した生活を送るためのサポートを行っています。
双極性障害の症状について
双極性障害の主な症状は、躁状態(または軽躁状態)とうつ状態です。これらの状態は、それぞれ特徴的な症状を示します。
躁状態(または軽躁状態)の症状
- 気分が高揚し、異常に幸福感や自信に満ち溢れる
- 睡眠時間が短くても平気になる
- 普段より多弁になり、話が止まらない
- 次々とアイデアが湧き、集中力が散漫になる
- 衝動的な行動(浪費、 сексуальная близость、無謀な投資など)に走る
- 自己評価が過大になる
- 易刺激性(ちょっとしたことでイライラする)
軽躁状態は躁状態よりも症状が軽く、日常生活に支障をきたさない場合もありますが、周囲からは「いつもと違う」と感じられることが多いです。
うつ状態の症状
- 気分の落ち込みが激しく、悲しみや絶望感に苛まれる
- 興味や喜びを感じられなくなる
- 食欲不振または過食
- 睡眠障害(不眠または過眠)
- 疲労感や気力の低下
- 集中力や思考力の低下
- 自殺願望
これらの症状が2週間以上続く場合、うつ状態と診断されることがあります。
双極性障害の原因について
双極性障害の原因は、まだ完全には解明されていませんが、遺伝的要因、脳の機能や構造の変化、環境要因などが複雑に絡み合って発症すると考えられています。
- 遺伝的要因・・家族歴に双極性障害の方がいる場合、発症リスクが高くなることが知られています。
- 脳の機能や構造の変化・・脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど)のバランスの乱れや、脳の特定部位の活動の変化が関与していると考えられています。
- 環境要因・・ストレス、睡眠不足、生活リズムの乱れ、過去のトラウマなどが発症や症状の悪化に影響を与える可能性があります。
これらの要因が単独で作用するのではなく、複数の要因が重なることで発症に至ると考えられています。
双極性障害の病気の種類について
双極性障害は、症状の現れ方によっていくつかの種類に分類されます。
- 双極I型障害・・躁状態とうつ状態の両方が現れるタイプです。躁状態は、少なくとも7日間以上続くか、入院が必要となるほど重度の場合もあります。
- 双極II型障害・・軽躁状態とうつ状態が現れるタイプです。躁状態ほど重度ではない軽躁状態が特徴です。
- 気分循環性障害・・軽躁状態とうつ状態が比較的軽い状態で、慢性的に繰り返されるタイプです。
- 特定される他の双極性障害及び関連障害群・・上記のいずれの診断基準も満たさないものの、双極性障害の特徴的な症状を示す場合を指します。
適切な診断を受けるためには、精神科医や心療内科医による詳細な診察が必要です。
双極性障害の治療法について
双極性障害の治療は、薬物療法を中心に、精神療法(カウンセリング、心理療法)や生活習慣の改善などを組み合わせることで、症状の安定と再発予防を目指します。
薬物療法
薬物療法は、双極性障害の治療において最も重要な役割を果たします。主に、以下の薬物が用いられます。
- 気分安定薬・・躁状態とうつ状態の両方を安定させる効果があり、再発予防にも用いられます。(例・・リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンなど)
- 抗精神病薬・・躁状態や興奮を鎮める効果があり、うつ状態にも効果が期待できるものもあります。(例・・クエチアピン、オランザピン、リスペリドンなど)
- 抗うつ薬・・うつ状態の改善に用いられますが、単独で使用すると躁転のリスクがあるため、気分安定薬との併用が推奨されます。(例・・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)など)
当院では、患者さんの症状や体質、年齢などを考慮し、最適な薬物療法を提供いたします。また、副作用についても詳しく説明し、安心して治療を受けていただけるよう努めています。
精神療法(カウンセリング・心理療法)
精神療法は、薬物療法と並行して行うことで、治療効果を高めることができます。当院では、以下の精神療法を提供しています。
- 認知行動療法・・考え方や行動パターンを見直し、ストレスへの対処法を身につけることを目指します。
- 対人関係療法・・対人関係の改善を通して、気分の安定を図ります。
- 家族療法・・家族間のコミュニケーションを改善し、病気に対する理解を深めます。
生活習慣の改善
規則正しい生活習慣を送ることは、気分の安定に繋がります。
- 十分な睡眠・・毎日同じ時間に寝起きし、7~8時間の睡眠時間を確保しましょう。
- バランスの取れた食事・・栄養バランスの良い食事を摂り、カフェインやアルコールの摂取は控えましょう。
- 適度な運動・・ウォーキングやジョギングなどの軽い運動を習慣にしましょう。
- ストレス管理・・自分に合ったストレス解消法を見つけ、ストレスを溜め込まないようにしましょう。
これらの治療法を組み合わせることで、双極性障害の症状をコントロールし、安定した生活を送ることが可能です。
院長より
武蔵野病院では、双極性障害に苦しむ患者さん一人ひとりに寄り添い、丁寧な診療を心がけています。当院は投薬治療を中心としていますが、カウンセリングや心理療法も積極的に取り入れ、患者さんの心のケアにも力を入れています。双極性障害は、適切な治療を受けることで症状をコントロールし、以前と変わらない生活を送ることが十分に可能です。「もしかして双極性障害かも?」と思ったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。早期の診断と治療が、症状の改善と再発予防に繋がります。当院の専門医が、あなたの状況を丁寧にヒアリングし、最適な治療プランをご提案いたします。安心してご来院ください。
